2011年4月25日月曜日

巨匠逝く



出崎統監督がお亡くなりになりました。
僕にとってはひとつのアニメーションの星が消えたといってもいいでしょう。
「ガンバの冒険」「あしたのジョー」
「あしたのジョー2」「宝島」
「家なき子」「おにいさまへ」「ルパン三世」
「エースをねらえ!」「コブラ」「白鯨」
と本当に大好きで。繰り返し繰り返し何度も見ています。
杉井ギサブロー監督・押井守監督そして出崎統監督は僕にとって憧れであり
僕の幼少期のアニメ体験を大きく変えてくれた本当にかけがえのない監督でした。
今日はその中でも僕の中で思い入れの強い作品を紹介しつつこれを追悼させていただきたいと思います。

「ブラックジャック OVA」


僕が初めてショックを受けた出崎作品はブラックジャックです。
出崎監督を意識するようになったのは中学生の頃に見た「あしたのジョー2」と「ガンバの冒険」ですが
当時小学生だった僕の脳裏に焼き付いたのはこのシリーズです。
割と厳しい母だったため当時流行のアニメは見てはいけない環境でした。
許されているのは世界名作劇場やムーミンといった一見子供向けに見える作品のみで
過激な描写のものは見てはいけないということになっていたのです。
当時、熱を出したときのみ母親と父親はビデオレンタルでアニメを借りてきてくれるのです(そこで銀河鉄道の夜に奇跡的に出会っていたわけですが^^;)
手塚治虫原作ということで親も安心したのでしょう。
このブラックジャックの三巻「マリア達の勲章」を借りてきたのです。
しかしこのブラックジャックなんといっても出崎監督の個性が大爆発した男臭いバイオレンス&エロスな作品で、当時の僕はぽかーん状態^^;
なにせ病に倒れた将軍と部下たちが国外に逃亡する話で、それを追う政府の特殊部隊との容赦ない戦いの嵐ですので;もうブラックジャック関係ないじゃんとw
このシリーズ、内戦だのクーデターだのヤクザと刑事の戦いだのもうほんとやりほうだい^^
しかし僕は祖父とこっそり?押井守だの洋画だの見ていたのもあって
手塚治虫作品というより出崎監督の映画的な描写の連続にすごく興奮した記憶があります。
アニメーションでこんなことが描けるんだ!という驚きと興奮は今でも忘れません。
今でこそアニメが劇画の影響でリアリスティックに描かれるいきさつを知っていますから、なんというか当たり前のものとして見れるのですが。
小学生の僕にとってアニメとはそういうものではなかったので、この入り乱れる暴力とエロティシズムには強い魅力を感じました。
先に挙げた監督達はアニメーションは決められたセオリーだけではなくときには映画的な手法もしかり、いろいろな方向に広がっていいものなのだということを教えてくれた心の師匠のような存在です。
特に出崎監督は有名なハーモニー処理だけではなく、光の入れ方や陰影のつけ方など撮影処理においても非常に実験的な絵作りをされて、アニメと親和性が高いともいえないような効果すら積極的にアニメーションに取り入れていたことは非常に印象的です。
これも今にして思えば真崎守監督や川尻監督、りん監督といった出崎さんと同じ虫プロのクリエーター達はあるときは映画的な、ある時は漫画劇画的に様々な実験をしていたことを知るのですが、小学生の僕の初体験は非常に驚きに満ちていました。

「エースをねらえ」



劇場版の1とかは僕より年上のアニメファン、クリエーターの方に多大な影響を与えていると思いますが、僕の個人的な思い入れでいうと2は総監修と絵コンテという立場でしたが、非常に印象に残っています。
コーチの死後、心に傷を背負いながらなかなか立ち直れない、岡の再生の物語でもあり。じっくりと人間のドラマを描いていく描写に非常に感動しました。また杉野さんの描くキャラクターの仕草やポーズもまた出崎監督作品にとってはかかせない魅力でした。このOPはどこはかとなく杉野さんのいつもとは違う一面も感じさせるので好きです。


「雪の女王」


これは近年の作品ですね。昔普通に感想系のブログ描いてました^^;
このEDが凄く好きです。出崎監督は人の営みではなく、人の生き様をびしっと描くところが凄く素敵です。
ゴルゴとかどんどんリアリスティックな劇画になっていく作風がここでまた「家なき子」のような子供向けの旅モノになったというのも驚きでしたし、毎回力技ながらダイナミックに見せる1話完結のゲルダ達の旅は本当に面白かったです。そして「マッチ売りの少女」のような救いのない物語を徹底して描いたり、出崎監督に衰えなし!と感じさせるパワフルな演出は実に見ごたえがありました。
そして最後のEDでゲルダを見守るような優しい視線にグッとさせられたものです。

描きだしたらきりがないですが僕が生まれる以前の作品から近年の作品まで、僕にとって出崎作品は大事な宝物です。いままでほんとうにありがとうございました!

僕も誰かをそういう気持ちにさせる作品を作りたいと願いつつ邁進したいと思います。

2011年4月11日月曜日

Viva La アニメーション!

自主制作は相変わらず遅々とした歩みですが、みんなのおかげで順調に進んでおります。
またインターフェイスドッグス初の海外のアニメーターにも参加してもらって、チーム制作は賑わいを見せています^^国内外で素敵なコラボレーションができると嬉しいですね。
スタッフは国内外問わず今もアニメーター、背景担当募集中です。

今日は最近見た二つのアニメーション映画についての感想です。

ひとつめは日本でも公開中のシルヴァン・ショメの最新作「イリュージョニスト」であります!




ロックンロールやTVが世界を席巻し、時代が古きを追い落とすように進む1950年代のパリ。昔ながらのマジックを披露する初老の手品師タチシェフは、かつての人気をすっかり失い、三流の劇場や場末のバーでドサ回りの日々。そんなある日、スコットランドの離島に流れ着いた手品師は、やっと電気が開通したばかりの片田舎のバーで村人相手に芸を披露、喝采を浴びる。興奮冷めやらぬ村人たちの中で、貧しい少女アリスは、手品師を何でも願いを叶えてくれる“魔法使い”と信じ、島を離れるタチシェフを追いかける。言葉も通じない二人は、やがてエジンバラの片隅で一緒に暮らし始める。落ちぶれた自分を魔法使いと尊敬し、甲斐甲斐しく世話を焼き甘えるアリスに、生き別れた娘の面影を見るタチシェフ。しかし、初めて都会へやってきたアリスにとって、街は見るもの全てが珍しく、新鮮な輝きに満ち溢れていた。そして、アリスを落胆させまいと、手品師は魔法の呪文で彼女が望むプレゼントを贈り続ける。だが時代遅れの彼に仕事は無く、やがて……。>ネットの紹介分より抜粋

前作ヴェルヴィヴランデヴーはかなりブラックな作品でしたが、今回は情緒的で美しいビジュアルがとても印象的でした。手書きとCGの使い方がまたうまいんだわこれが;
この映画まさに一言でいうと「僕が見てきたフランス映画」そのもの。
映画はアニメーションになりうるかという疑問に対してのまさに答えのような映画でありなが、極端に少ない台詞と動きで物語を語るアニメならではの表現もぴかいちです。
とにかく思い切った演出が際立っていて、並大抵の演出家ならでき得ないであろう空気感を表現していた作品でした。
僕にとっても、アニメーションの可能性としてアニメ独自の間と動きのセオリーをいかに崩してアニメーならではの作品を作るかというのはテーマです。
間とタイミングがほんとうに素晴らしい。そこにカメラがあるかのようなレイアウトそして、1カット1カットの尺のバランス、ひとつひとつがじわじわと作品の臨場感を伝えてくれます。
スカイクロラ以来、久々にアニメーションでキャラクターの感情や根柢に描こうとしているものを探りながら見れる映画です。作風も予告編の印象とは違い、かなりドライで、外連味で描くというよりは、丁寧に丁寧に1つの物語を紡いでいました。あまり多くは語らないのでぜひ見てない方は見に行ってほしいですね。

ひとつだけ思ったのはモブキャラの感じはもうちょっと地味でもよかったような気がします。
どちらかというと前作のテイストですが、かなり強い個性があって、ちょっと作品全体をくいぎみになることがあるのでその辺は気になりましたね。

もうひとつは「ファンタスティックmr.fox」という人形アニメーション



キツネのMr.FOXは農家の主人が仕かけたワナにかかり、妻のMrs.Foxと絶体絶命のピンチに陥る。その時、Mr.FOXは明日の朝まで生き延びられたら、泥棒ではないまっとうな仕事をすると誓う。2年後、すっかり足を洗ったMr.FOXは、妻と変わり者の息子アッシュと3人で穴暮らしをしていた。しかし貧乏な穴暮らしに飽き飽きしていたMr.FOXは丘の上の家に引越し、その向かいにある3つの農場での泥棒を計画する。>ネットより抜粋


こちらはもうちょっとブラックなコメディー作品でしたね。
ウェスアンダーソンは劇映画の監督ですが今回はなんとアニメーション作品に挑戦。
僕の中でこの監督はつかみかねているところがありまして。
真剣なんだか、ふざけているんだか煙に巻くところがある監督ですね;
しかし常に彼の作る世界観は独特でかわいらしくて毒のある不思議なユーモアを感じさせます。
劇場でも何度か笑い声が漏れる、クスッと笑えるいい作品でした。
個人的にはお父さんと息子の関係が良かったですね。
グレてる息子と素晴らしいお父さん狐と思われたいやんちゃなお父さん、この対立構造あってのウェスアンダーソン作品でしょう。ロイヤルテネンバーグもライフアクアティックもすべて父と子のお話ですし、彼の生涯のテーマなのでしょう。
アニメーションの手法はちょっと不思議な感じでした。
タイミングが人形アニメらしからぬというか、どちらかというと2Dアニメっぽいタイミングの付け方で
結構慣れるまで時間がかかりました。
日本のアニメーション軟化の影響も受けてそう。
はじめて人形アニメでフォローカット見た気がするw
なんか画面構成というか絵作りが不思議で人形アニメーターが頭を抱えたというのも少しわかる気がします。
是非この作品もお勧めですので見てください^^

ふたつとも凄く自分なりの世界観があって、セオリー通りに作る大事さも必要だけど譲らない自分なりの世界観を作ることの魅力を教えてくれます。


最後に今日もかなり地震で揺れましたが、元気が出るようロックでも聞きましょう!
てくてく日和の音楽担当の鈴木君と高校の頃の音楽話していたら、フーファイターズ聞きたくなって最近聞いてます。元気が出ますよ^^エネルギッシュに鬱々とした日常を吹き飛ばしましょう。